獣医療、ペットフード・用品の発展や飼い主さんの意識の向上などによってペットの平均寿命は延びてきており、とあるペット保険会社の調査によると2022年における犬・猫の平均寿命は種類によって差があるものの約14.4歳との報告があります。
大切な家族の一員である愛犬・愛猫が長生きしてくれるということは大きな喜びでもありますが、「介護」という新たなお世話が必要になる可能性も高くなると考えることができるでしょう。
そこで、獣医師が見てきたシニア期に必要なお世話や介護ポイント解説していきたいと思います。
何歳からがいわゆる「高齢(シニア)期」?
犬・猫において何歳から「高齢(シニア期)」に当てはまるかには様々な考え方がありますが、一般的には犬種別に小型犬は10歳から、中型犬は7歳から、大型犬は5歳からといわれることが多いでしょう。また、猫では11歳からと考えられています。
ただ、これらの年齢は数字だけでみると人間ではまだ子供に該当する年齢であるため「高齢(シニア)期」といわれてもイメージがわきにくい飼い主さんもいると思います。
そのような場合は、愛犬・愛猫の年齢を人間の年齢に換算する方法がおすすめとなります。例えば小型犬・猫は人間の5~6倍で時間が過ぎているといわれており、一般的に生まれてから1年(1歳)で人間の20歳程度に該当し、1歳以降は1年間にだいたい4歳ずつ年をとるといわれています。
よって例えば愛猫が11歳ならば人間でいうと60歳の還暦となるため、おじいちゃん、おばあちゃんと呼んでもおかしくない年齢になりますね。
愛犬・愛猫の健康状態を確認
犬・猫も人間と同様に高齢になればなるほど体力や免疫の衰えなどの老化現象によって病気にかかる可能性は高くなります。よって特に持病などの治療で定期的に動物病院を受診していない場合はお世話や介護の方法を考える前に、まずは可能ならば動物病院で健康診断を受診し、今の愛犬・愛猫の健康状態等を確認することをおすすめします。
ただ健康診断にも様々な種類があるため、愛犬・愛猫の性格を考慮しつつ獣医師と相談するなどによってベストと考えられるものを飼い主さんが選んであげる必要があります。動物病院の規模にもよりますが、一般的に健康診断は以下の3種類のコースから選ぶことができるでしょう。
尿検査による健康診断
犬では少ないかもしれませんが動物病院への通院のためにキャリーに入れたとたん異様に鳴く、震える、おしっこをもらすなどといった強い拒否反応を見せる場合は、無理に健康診断を受けさせることはあまりおすすめできません。せめて尿を自宅で採取して尿検査だけでも健康診断として実施しましょう。
血液検査と尿検査による健康診断
動物病院への通院に抵抗やストレスを感じることは少ないが、一定時間の絶食や日帰りのお預かりが苦手な場合や超音波検査、レントゲン検査などの全身の保定が必要となる検査に抵抗を示す場合は、血液検査と尿検査だけでも健康診断として受診してみましょう。
1日コースの健康診断
動物病院への通院に抵抗やストレスを感じることが少なく、また検査のために一定時間の絶食や日帰りのお預かりなどを行ってもその後、嘔吐や下痢、食欲不振などを引き起こさない場合は超音波検査やレントゲン検査などの精密検査を含む、全身状態をより詳細に把握することができる1日コースの健康診断をおすすめします。
第二回では、獣医師として見てきた「シニア期に必要なお世話や介護のポイント」をお伝えします。