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日本獣医生命科学大学 左向名誉教授に「犬にとってDHAEPAの必要性と抽出温度の重要性」を解説頂きました

ω3脂肪酸(EPAやDHA)の効果                            

日本獣医生命科学大学

名誉教授 左向敏紀 

 

魚油に含まれるω3脂肪酸は、エスキモーにおける心筋梗塞による死亡率が低いということから研究が始められました。今では多くの研究でその有用性が明らかになってきています。寒冷な海水の中を回遊する魚たちの脂肪(EPAやDHAを含む)は、低温状態で生きて行くためにさらさらで固まりにくく、恒温動物である人や犬猫が摂取すると赤血球を含めた細胞の柔軟性が上がり血液の流れが良くなります。このため血栓症、循環器疾患、高血圧の予防となるというのが最初の発見でした。犬でも同様な報告がされています(freeman 1998)。

よく、血液がさらさらになると言われたりしますが、赤血球の柔軟性が高まり、狭い隙間でも通り抜けやすくなるためにそのような表現をすることもあるかもしれません。


また、ω3脂肪酸(EPAやDHA)の食事量を増やし、ω6脂肪酸(リノール酸など)との割合を改善する事で、抗炎症作用、抗アレルギー作用、アトピー性皮膚炎の改善などが知られるようになって来ました。このため皮膚疾患のある場合は、シャンプーや抗生物質、抗炎症剤を使用するとともにω3脂肪酸を補充することが勧められています。この抗炎症作用のために関節の痛みにも効果があるとされてきています。さらには、がんの予防効果もあるとされてきています。


犬にとってDHAEPAの必要性、日本獣医生命大学 左向名誉教授による解説
犬にとってDHAEPAの必要性

 

DHAは、脳細胞を構成する細胞、組織に多く存在し、胎児期、成長期に脳と網膜の成長、成熟に欠かせない栄養素であることは1990年代から知られており近年の研究でも確認されています(Martinez M 1991、Harris WS 2015, Heath RJ  2022)。人犬猫では体内で作り出すことが出来ないので胎児期、成長期には必須脂肪酸です。このため妊娠期、授乳期の母親にとっても重要な栄養素で、母乳からのDHA補充が乳児の脳の発達にプラスにある報告があります(Hart S.L.2006)。EPA・DHAを強化した人工哺乳では視覚発達が良好で有ったという報告(Eilander A 2007)や、DHAを与えた群で精神発達指数が高く報告されています(Drover J.R2006)。すなわち妊娠中および授乳中にDHAを適切に摂取すると認知機能、精神発達の向上につながる可能性があります。

 

成長期の子供で脳の発達にDHA給与が影響するというに多くの研究行われており、研究結果は成長期に言語能力や記憶に関しては効果があるという報告と効果がないという報告があります。学習および行動上の問題の増加と相関する(Stevens L.J1996, Brew B.K2015)、小学生ではDHAサプリメント接種すると「読解力」向上したとの報告もあります(Richardson AJ 2012、2005、Dalton A. 2009,Martinat M 2021)。マウスの研究でもDHAとコリンを与えることで学習能力が上昇することが報告されました(Li J 2023)。このように離乳後の成長期においても、学習および行動上の改善にDHA補充が有効の可能性があります。

DHAの欠乏が、認知症・うつ病・脳機能異常を誘発し、人ではDHAおよびω3脂肪酸(EPAやDHA)を摂取することで、認知機能の改善に有効であると多くの報告があります。犬の認知症に対しても、夜泣きの軽減が報告されています(平山ら2004 )。近年では犬の認知機能障害症候群のDHAとスフィンゴ脂質の投与がより良い効果が出るとの報告も出ました。(Araujo JA 2022)

種々の効果が発見されて来ているω3脂肪酸であるEPAやDHAは、酸化されやすい二重結合を多く持っています。この二重結合が酸素やフリーラジカルに攻撃されると、酸化脂肪酸を容易に生成されて、悪臭を放ったり、異物となり体内で炎症を引き起こしたりします。このため変性の起こりにくい状態を保って給与することが大切です。脂質過酸化を防ぐ天然の抗酸化剤であるビタミンE濃度を保ったり、変性反応を起こしやすいような高熱状態に置いたりしないことが大切です。(犬にとってDHAEPAの必要性)

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